慶州市外バスターミナルに着いた頃には昼の13時をとうに過ぎていた。釜山金海国際空港に降り立って、直接バスに乗ってきてしまったためだ。
空腹で観光する気にもなれず、大陵苑を横目に素通りして、近くの小さな食堂へ入った。4人がけの机を無理やり2台押し込んだような店内。壁に貼られたポスターも色あせている。
ドアに大きく書かれていたヘジャングクを注文。コンナムルクッパのようなスープに山菜がのったような料理が出てきた。
空腹なのにおいしいとは言えないスープ、小さなテレビから流れる韓国語のニュース。それを見ている愛想のない店主。
観光地になのに観光地化されていない食堂に韓国らしさを感じて、韓国に来たことを実感した。
今夜の宿は慶州最大の観光施設・世界遺産「仏国寺」の近くのホテルだ。慶州市内から循環バスで更に一時間ほどかかる。移動だけで1日が終わってしまうようなスケジュールにどうしてしてしまったのかと後悔しながら、市内観光をあきらめてバスに乗った。
慶州観光は日帰りで十分だと思っていた私にとって、今回慶州に宿泊する目的はひとつ。登山だ。
慶州には有名な南山があるが、今回登る山は世界遺産を2つも抱く山、トハムサン。
新年を迎えた朝に数万人の人々が訪れるという山だ。
慶州では新年の0時に奉徳寺の鐘がならされるらしい。その光景を見た後、新年の朝日を拝みに石窟庵へ訪れるというのだ。ちなみに、石窟庵はトハムサンの中腹にある。
残念ながら年末年始に慶州を訪れることは難しいから、観光を兼ねて登山を楽しもうという目論見だ。
麓の仏国寺、中腹の石窟庵、そして頂上からの景色・・・考えるだけでワクワクする。
そんなことを考えながら、炭酸泉らしい(!?)ホテルの大浴場に浸かった。
・・・・・・・・・②へつづく
朝7時にホテルを出て、徒歩で仏国寺へ向かう。 まだ車はほとんど走っていない。薄暗いし、山の麓だから不気味なくらい静かだ。…